木印手記Blog

STOP MAKING SENSE

友達に再上映を教えてもらって観に行く。

少し前に話題になっていたが「アメリカンユートピア」の衝撃的なかっこよさに打ちのめされた自分としては、どーしても気になる。観ないわけにはいかない(しかも4k IMAX上映)。

本編が始まる前のIMAXのPR動画、あれ好きです。昔テーマパークで体験した(ような気がする)あの感じをいつも呼び戻してくれるワクワク感。は、さておき、お、これはA24が企画しレストアしてるのか…とかとか、、、

ライブが始まった。アメリカンユートピアしかほぼ知らない自分としては、あれがデビッドバーンの全てで、トーキングヘッズのほぼほぼ。シンプルなスーツとシャツにノーネクタイのスタイル、アコギ弾きながらベースの女子と奏で始める。

ステージは舞台裏のような粗雑な佇まいだ。飾らない感じが潔くていい。舞台上にはバミりのテープがいくつかある。演奏が進むたびに、その印の場所に舞台装置?ステージ?ドラムとかキーボード用の舞台が設置されていく。

そのようにどんどんと整っていくにつれ、演奏、会場の熱気が高まっていく。その後、中程に来たところでトーキングヘッズのデビッドバーン抜き(肉うどんのうどん抜き的な)なトムトムクラブの一曲を挟む。その後、多分このライブ一番のクライマックスでもあろう、塗り壁みたいなデビッドバーンのステージへと…

このスーツと肉襦袢にかなりのインパクトがあるから、そのことばっかにりなりそう(特に当時84年とか)だけれど、こちとらアメリカンユートピア観ているからか、そこは冷静に観たり、変に分析したり?してしまうのだけれど。

まず大前提として、この世界観や舞台の作り方、すごくカッコよくて大好きなのだが、(字幕だけど)この人の歌詞はとても簡単な言葉の繰り返し。繰り返し歌う(叫ぶ)ことでそこに意味が生まれていく。 動き?ノリ?踊り?もどれも別にテクニックを要するものではなく、衝動的に動いているようにも見える(んだけど、どことなく知的でセクシー)。楽器や音響、ライティングなど舞台装置に関しても、特殊な機材や効果があるというわけではなく、むしろ原始的とも言えるアナログなものがほとんどなんだけれど、角度やタイミング、レイアウトなど計算されていて、その結果とても前衛的に感じる。

自分のフィールドに置き換えて表現するとすれば、特に高級だったり珍しい材料を使うわけでもなく、特殊な加工機械を使うわけでもなく、手に届く一般的な材料と機械だけを使い、組み合わせて、一番シャレた家具を作っている感じだ。

そ〜いうのむっちゃ好き

彼は時の流れに身を委ねている。時間の経過が好きだと謳っていたのにも心が揺れた。今を受け入れ、むしろ愛し、自分のスタイルとして着こなしていく。決して時代に流されているわけではなく、自分らしく生きるために欠かせない本質を、本能的に捉えて自分の色で(きっとグレー)塗り替えているんじゃないか、と感じるショーだった